就業規則点検
就業規則は大丈夫ですか?
就業規則に不備があると、労使トラブル発生のリスクが高くなります。
最悪の場合、会社を倒産の危機に追い込むことにもなりねません。
御社の就業規則は、次のような事態に対応できるものとなっていますか?
- 社員から損害金を取れない
Aさんが最近入社し、会社がAさんのために用意した借り上げ社宅に入居することになりました。この社宅は、会社がAさんのために新たに用意したもので、会社を辞めた場合には、Aさんは1ヶ月以内に退去すること、又、6ヶ月以内に会社を辞めた場合には、社宅の解約に伴う「違約金」5万円をAさんが負担をすることも書面で交付し、納得してもらいました。その後、試用期間3ヶ月が終了した時点で、なんとAさんから、「退職届」が提出されました。社宅の解約に伴う「違約金」5万円について、Aさんへの最後の給与から天引きできないか弁護士に相談したところ、不可能との回答でした。結局、給与は全額を支払い、5万円の支払いを督促したのですが、回収できず現在に至っています。
- 仕事が続かないという問題社員のパターンです。このような場合に、5万円の損害金で裁判を起こすのも、弁護士に支払う費用を考えると何の意味もなくなります。会社は、最後の給与から天引きしたかったのですが、できませんでした。なぜなら、「労働基準法」で給与は全額支払わなければならないと定められているからです。どうすればよかったのでしょう。
- 社員が行方不明になり解雇できない
社員のBさんが、突然出社しなくなりました。会社は、何度も連絡したのですが、連絡が取れません。3週間が過ぎて、懲戒解雇の処分を下すことになり、弁護士の指導で内容証明を2回送付しましたが、いずれも本人不在で通知することができませんでした。人事担当者が自宅にも行きましたが会えません。このため、弁護士と相談して、裁判所から公示送達という手続きで解雇通知を出すことになりました。
- 就業規則の不備な例の一つです。行方不明社員を想定した規定をおいている就業規則はほとんどありません。
この事例のように、人事担当者が時間を使い、弁護士に相談料を支払うという事態になると会社としては損失です。
この事例では行方不明社員に2度の「内容証明郵便」送付、自宅訪問、裁判所に公示送達の申し込みという一連のトラブル処理で30時間以上もかかってしまいました。
金額に換算すると、15万円以上の損害です。さらに弁護士費用も考えると20万円以上になりました。
※金額計算の前提
給与とボーナスを合わせて500万円の社員の1時間単価は、5,000円になります。
会社が負担する人件費は社員に支払う給与とボーナスの1.8倍という厚生労働省の統計を基に計算した結果です。
日本の労働者の年間の労働時間は1800時間ですから、
(500万円×1.8)÷1800時間 = 5,000円
となります。
- 就業規則の不備な例の一つです。行方不明社員を想定した規定をおいている就業規則はほとんどありません。
- 退職金規定の適用範囲のミスで退職金を支払う羽目に
社員のCさんは、3年前の3月に定年の60歳を迎えました。3年間継続雇用して、今年の3月に退職ということになったのですが、そのCさんから、130万円の退職金を支払って欲しいとの申し出がありました。会社としては、継続雇用者に対する退職金は考えていなかったのですが、裁判で会社は敗訴。130万円の退職金を支払う羽目になりました。
- 実際の裁判の事例です。何がいけなかったのでしょう。近年、働く人の形態が多様化してきました。期間契約の人や、パート・アルバイトの人、短時間で働く正社員等いろいろな形態があります。
この会社の就業規則の欠点は、退職金規定の適用される社員を限定していなかったため、継続雇用の人にも退職金規定が適用になると判断されたわけです。
このように、正社員だけに適用する制度の適用範囲が不明確になっていたために、継続雇用の社員や嘱託社員等の人にも適用されるという裁判例は数多くあります。
- 実際の裁判の事例です。何がいけなかったのでしょう。近年、働く人の形態が多様化してきました。期間契約の人や、パート・アルバイトの人、短時間で働く正社員等いろいろな形態があります。
- 特別有給休暇をとんでもない時季に取る社員の申し出に対応できない
社員のDさんが、来月結婚式を挙げることになりました。社内の規定では、結婚の際の特別休暇は5日と規定されていました。&br;ところが、Dさんから、結婚休暇は来年のゴールデンウィークにあわせて取得したいという申し出がありました。&br;結婚休暇について、5日と規定しているだけなので、どうすればいいのでしょう。
- 特別休暇制度として、多くの会社で慶弔休暇制度を作っています。
しかし、一般的な就業規則では、
「社員が結婚した場合・・・5日」
「社員の両親の死亡・・・3日」
という形で規定されています。
これでは、いつから5日なのか、いつまで5日なのかということがまったくわかりません。
近年は、社員の方も権利意識が強くなり、人事担当者の方よりも「就業規則を読み込んでいる」人も多くなりました。
- 特別休暇制度として、多くの会社で慶弔休暇制度を作っています。
- 休職の際の医師の診断書代金でトラブルに、社会保険料も払ってくれない
精神疾患になった社員のEさんから、来週から休職をしたいとの申し出がありました。会社として、医師の診断書を提出してくださいといったころ、「診断書代金は会社で出してくれるんですか?」といわれてしまい。この診断書代は会社で負担することにしてあげました。その後、3ヶ月近く休職していますが、個人負担の社会保険料を支払ってもらえません。さらに、症状の確認で診断書の提出を再度申し出たところ、この診断書の料金も負担して欲しいと申し出がありました。
- 精神疾患を患う社員が増えています。精神疾患は、長時間労働が原因の一つですが、パワハラやセクハラも精神疾患の要因となるため会社としてその対策も必要となります。
この事例では、休職の際に、医師の診断書を提出させることにしている就業規則は多いのですが、その診断書代に関する取り決めをしている就業規則はほとんどありません。
さらに、休職期間中は、多くの会社が無給にしていますが、社員としての資格は継続することから、社会保険料は継続して支払わなければなりません。社会保険料には個人負担の部分があるため、その分に関しては、個人で会社に一定期日までに入金をしてもらう等の取り決めをする必要があります。
このような仕組みを休職前にしっかり説明してあげないと、トラブルになることもあります。
- 精神疾患を患う社員が増えています。精神疾患は、長時間労働が原因の一つですが、パワハラやセクハラも精神疾患の要因となるため会社としてその対策も必要となります。
- 退職願の撤回と引継ぎをしない社員
社員のFさんから、今月15日に、来月いっぱいで、会社を辞めたいという「退職願」が提出されました。残っている有給休暇を取得するため、来月は、一切出勤しないとのことです。引継ぎの関係で、少し出勤してくれないかとの申し出をしましたが、断られました。引継ぎも不十分なまま、有給休暇の消化に入ったのですが、突然、退職理由は「長時間労働で疲労したことが原因なので会社都合の退職にしてくれ」と弁護士を通じて内容証明を送ってきました。また、その社員のパソコンを調べてみると、会社の重要なデータが消えていました。問い合わせをしても、「消去しました」というばかり、顧客情報のファイル等も消失しているため今後のことが不安です。
- 自己都合でやめる社員に対して、有給休暇の残日数の関係で引継ぎが不十分な状態で退職するケースがあります。有給休暇は社員の権利であるため、その権利行使を拒否することはできません。
Fさんのように退職理由の変更の申し出をするというようなケースは珍しくありません。いざ退職となって、失業保険のことを調べていると、「自己都合」の場合、3ヶ月は失業保険が支給されません。又、支給される日数も少ないため、これを知った社員が知恵をつけられて、退職理由の変更を申し出るというケースです。
さらに、Fさんの退職のケースは危険です。個人情報や営業秘密といったデータの流失です。
退職社員のデータセキュリティへの対応は大丈夫ですか。退職願だけではなく、「退職届、さらに確認書を取る」「退職者のパソコンの管理を徹底させる」などといった対策が必要です。
いままでの会社運営は「性善説」で行われてきました。しかし、これからの時代は、「性悪説」に立った既定作りやコンプライアンス研修等が重要になります。
- 自己都合でやめる社員に対して、有給休暇の残日数の関係で引継ぎが不十分な状態で退職するケースがあります。有給休暇は社員の権利であるため、その権利行使を拒否することはできません。
転ばぬ先の杖
まずは、『就業規則無料診断』と『就業規則労務リスク無料診断』で確認して下さい。
- 『就業規則無料診断』は主として法令を遵守したものとなっているかをチェックするものです。
- 『就業規則労務リスク無料診断』は、社員とのトラブルを未然に防ぐ役割を果たすものになっているかをチェックするものです。
- 「改善の必要があります。」又は「労務リスクがある就業規則です。」と診断された場合には、早急に就業規則の見直しが必要です。
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